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函館家庭裁判所 昭和47年(少)496号 決定 1972年8月07日

少年 D・S(昭三二・五・二生)

主文

少年を養護施設に送致する。

理由

1  非行事実

少年は昭和四六年九月一〇日当裁判所で暴行により保護観察に付されたものであるが、昭和四六年一二月二四日にボンドを吸引したのがきつかけとなり、以後毎月一、二回シンナー、ボンド等を吸引し、

また昭和四七年三月一三日から同年六月一四日まで怠学を続けていたもので、この間同年五月三〇日に一回、同年七月一二日に二回それぞれ窃盗を犯しており、その性格、環境に照らして将来罪を犯す虞がある。

2  適条

少年法第三条第一項第三号

3  処遇の理由

処遇の理由については、当裁判所調査官石橋暎司作成の昭和四七年八月四日付少年調査票の意見欄の記載と同一であるのでここにそれを引用する(なお少年の親権者たる母が少年を養護施設に入所させることを反対しているので、少年法第一八条第一項の決定は不適当である。)。

よつて少年法第二四条第一項第二号に従い、主文のとおり決定する。

(裁判官 細川清)

参考一 昭和47年少第496号 少年調査票<省略>

(別紙) 犯罪者予防更生法四二条一項の事由

<1> 少年は昭四六・九・一〇保護観察に付され、その日実父同伴で当庁に出頭、主任官から保護観察中の心構えなどについて説示し、井田孝雄保護司を担当者に指名して保護観察を開始した。

<2> 少年は、翌日から○○中学校に登校し、外見は安定した生活をしていたが、近くに住む友人D(一七歳)に誘われ、昭和四六・一二・二四クリスマスイブの日裏山でボンド吸飲したのが契機となり毎日曜日のように二人で山やD宅などでボンド遊びを続け、昭四七・三・一二このことが兄に知れ頭を丸坊主にされるまで続けていた。

<3> この丸坊主になつてから学校を怠学し、また家を飛び出し家の近くで野宿したり姉の借りる部屋に泊めてもらつたりしていたが、居所を兄に発見され、四月三日帰宅、その後、登校するようになる。四月一〇日父親が健康診断の結果肺結核と診断され○○療養所に入院。

<4> 五月三日朝一〇時ころ外出、夕方帰宅したものの母のタラむしり内職の手伝いをしないで遊んでいたことで家に入れず家の近くで野宿し、食事は母がおにぎりをつくつて渡していた。この少年の行状に腹を立てた兄は、飲酒して家人に当り散らしたりしたため母、少年、妹の三人は姉が新しく借りた函館市○○町○○アパートに避難する。この間少年は怠学。

<5> 五月一一日母は少年と妹を連れ母の兄○○郡○○町○村○方に兄の追求をのがれ避難したが、受入れてもらえず五月一四日帰宅。母と妹は覚悟して帰宅したが少年は兄を嫌つて入家せず、また家の囲りで寝る。しかし大きないびきをかくため兄に知れ、翌朝家に引き入れられ暴行をうけた。その夜兄は飲酒の上暴れ少年は危険を感じ家から逃げ出し、父の入院病室で寝たりする。

<6> 五月一七日の主任官、学校・担当者など協議の上、少年を兄から放した生活をさすべく児相に相談し、担当者同道で母と少年を○○児童相談所に赴かせたが、兄から児相職員が頼まれたことで、再び少年は兄と同居するようになり、二~三日落着いた生活をしてたが、兄がまた飲酒して暴れ出したため母、少年、妹は姉のアパートに逃げ込み兄に居所を知らせないようにしていた。少年は怠学を続け五月三〇日函館市○○町○○商店から現金七〇〇円盗む。(母が後で弁済してる。)

<7> 六月一二日(月)から少年は登校するようになつたが、兄が家族の居所を知るべく学校を訪ねたりしたことで、七月一一日から母と妹は兄と同居するようになつた。しかし少年は兄を恐れ帰宅せず本日(一二日)学校を怠学し、母には学校で使うとウソをいい六〇円もらい、その金で○○○町にバスで遊びに来て、○イ○ョ○プ○リ○で、マンガの本二冊、続いて○○デパートでチョコレート二個、果物ナイフ二丁を万引、同デパートで発見され保護される。

参考二 前件決定(函館家裁 昭四六(少)七〇九号 昭四六・九・一〇決定)

主文

少年を函館保護観察所の保護観察に付する。

理由

(非行事実)

少年は、昭和四六年六月六日午後四時三〇分ころ、亀田郡○○町○○○○○において、同所をたまたま通りかかつた○次○恵(当二六年)に対し、同女の後方から両手で抱きつきその場に転倒させる等の暴行を加えた。

(適条)

主文少年法第二四条第一項第一号

非行事実刑法第二〇八条

(処遇)

処遇の理由については、当裁判所調査官石橋暎司作成の昭和四六年九月四日付少年調査票の意見欄の記載と同一であるので、ここにこれを引用する。

(裁判官 原田和徳)

参考三 昭和46年少第709号 少年調査票<省略>

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